東洋医学的診断法『脈診』で何を診ているのか?
☆目次☆
1.東洋医学的診断法とは?
2.脈診とは?
3.脈診による診断の一例
4.西洋医学的に脈診を解説すると
1.東洋医学的診察法とは?
東洋医学的な経絡、ツボ等はおよそ西暦300年代に中国で成立したと考えられています。
その後、日本に飛鳥・奈良時代(西暦500年代~)に入ってきて、日本の気候や風土、食事、生活習慣等の影響を受けて少しずつ日本独自の鍼灸治療に変化しました。
治療の流れとして、まずは問診を行いますが、合わせて脈やお腹、舌の状態を確認します。
これを東洋医学では脈診(みゃくしん)、腹診(ふくしん)、舌診(ぜつしん)と呼び、診察の中で大変重要視しています。
脈診、腹診、舌診は膨大な時間と経験に基づいた東洋医学的な診察法です。
それぞれに特徴があり、各診察法を組み合わせることで、より正確な診断と治療を行うことができます。
このページでは、脈診を取り上げて紹介します。
2.脈診とは?
治療の際に必ず手首で脈をとり、強さや速さ等の脈の状態から東洋医学的な身体の状態を診断方法を脈診と呼びます。
脈診では下記のようなことを診ています。脈診だけでかなり細かいことがわかります。
〇身体の体質や状態
〇気や血等のエネルギー量と質
〇臓腑の機能、状態
〇治療する経絡、ツボの判断
〇治療効果の判定、治療経過の予測
3.脈診による診断の一例
例えば、風邪を引くと熱がでたり、鼻水、のどの痛みがでる前に、脈に変化で出ます。
ですから、患者様が「風邪引いたかも」と訴えられても脈診をすることで、症状が風邪なのか、その他の原因から来ているかがわかります。
そして、風邪であれば風邪の治療、他の原因であれば、原因に合わせた鍼灸治療をすればいいと判断ができます。 鍼灸治療をすると、脈に変化が表れるので、変化の具合に応じて治療効果や経過の予測を行っています。
そして脈の状態が整うことは、内臓の働きが整い、ストレスへの抵抗力や免疫力が上がってくることを表しています。
鍼灸治療を行う際は、主訴の治療はとても大事ですが、脈を整えることも一つの目標として治療をしています。
4.西洋医学的に脈診を解説すると
西洋医学的には脈診は自律神経の状態を判断しているといえます。
脈は心臓の拍動を血管が伝えるものです。心臓や血管は自律神経がその動きを調整しています。自律神経は呼吸、血圧、食事の消化吸収、排泄、ホルモン分泌等を支配している神経です。
気温、気圧の変化、ストレスや不眠、過労、風邪等の感染症等により自律神経のバランスが乱れると身体に様々な不調が現れます。
身体に何か不調が現れた時は、不調が脈に影響を与えて脈が変わります。
脈診はその変化を大変細かく診ています。